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パキスタン、アフガニスタン、そして・・・


by koidelahore
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国家非常事態2

非常事態宣言の中身は、憲法停止および暫定憲法の発出。連邦、各州の議会は解散せず、政府の閣僚もそのまま任務を遂行するというものだ。反政府的な弁護士が続々と逮捕されているらしい。

国内情勢の悪化云々は口実で、大統領選挙の結果を審議する最高裁が明白なターゲットである。非常事態が宣言されれば、最高裁の判事団は解任されることになり、目の上のたんこぶが取れる。
イスラマバードでは携帯も固定も電話が妨害されているようだが、ラホールはいまのところ問題ない。
# by koidelahore | 2007-11-03 23:21 | Articles

国家非常事態

午後6時過ぎに仕事のパートナーから電話があり、国家非常事態宣言が出されそうだという。
テレビをつけたところ、GEOやAJなどの民間およびCNNとBBCを含む外国のニュースチャンネルはすべてブラックアウトされていた。そして午後6時15分過ぎパキスタン国営放送では「国家非常事態宣言」が発令されたとのテロップである。詳細の報道はまだなされていない。
# by koidelahore | 2007-11-03 22:33 | Articles

大統領選挙終了

紆余曲折はあったものの、57%の得票。ムシャッラフ将軍は何とか大統領職の非公式再選にこぎ着けた。ここにいたるまで、選挙管理委員会前では法律家とジャーナリストの抗議行動を力で鎮圧。軍における後継者を指名(しただけで、まだ軍服は脱いでいない)。さらには人民党を取り込むため、ベーナズィールらの汚職訴訟をチャラにする法案まで作り、1999年以前に汚職容疑で訴追され国外に逃げていたものどもが大挙して帰ってくることになりそうだ。

あとは10月17日の最高裁の判断を待つのみである。ここで、やっぱり「立候補資格なし」ということになると、どうなるのだろう。対立候補のワジーフッディーン元最高裁長官が当選ということになるのだろうか。それとも、やり直しということになるのだろうか。まあ、なんとかするんでしょ。なお、翌18日にはベーナズィールが帰国の予定。

パキスタンの大統領選挙は、上院と下院の連邦議会の議員、四州の州議会議員の投票で決められる。詳細はBBCのHow Pakistan elects a presidentが分かりやすい。

結果は過半数で決まるので、57%の得票というのは実はそんなに楽勝ではない。そもそも与党PML-Qが単独で過半数を握っているのはパンジャーブ州議会のみである。

人民党を除く野党の多くが辞職して議会を去り、人民党は棄権するという状況で、与党票の取りまとめはかなり大きな課題だったはずだ。The Newsの記事によると票の記入コーナーには隠しカメラが設置されていて、裏切り者がばれる仕掛けになっていたそうである。

そんな猫の手も借りたい状況で、風変わりな注目を浴びたのがアーイラ・マリクという女性下院議員である。この議員はレガーリー元大統領の姪で、モスクワ大学留学という経歴の持ち主。ちなみに姉も同じく下院議員で女性問題大臣のスメーラ・マリクである。

このアーイラ議員、女性枠で当選したところまでは良かったのだが、同僚議員のムハンマド・ヤール・リンドと再婚後(アーイラは2回目、リンドのほうは3回目)、パルダを理由に全く登院しなくなってしまった。かれこれ2年間、欠席が続いている。ただし今度という今度はそういうわけにもいかず、どうするのか注視されていたのである。

結果から言えば、彼女は2年ぶりに議事堂に姿を現した。ただし、他の議員がいるうちは一歩も入らず、がらんどうの議場で一人投票を行ったという訳である。もちろんブルカをかぶっていたそうだ。テレビカメラも撮影を禁止されたそうである。

いくらパルダと言ってもちょっとやりすぎというか常軌を逸しているというか。下院には宗教政党所属の女性議員だっていくらもいるわけで、みんなブルカ着用で議場に座っていた。
# by koidelahore | 2007-10-08 01:00 | Articles

今日からラマザーン

昨夜も月は見えなかったが、結局9月14日がラマザーン月第1日ということになったようである。特筆すべきは、今年は北西辺境州も同時にラマザーン入りしたことである。パキスタン全土で一緒に断食が始まるのは何年ぶりだろうか。

ラマザーンが始まり、みなどこか楽しそうである。われわれは断食というと苦行を連想するが、ここではあまりそういう感じは無い。日没後、一斉に口にするイフターリー。毎晩モスクに通っての勤行(タラーヴィー)。むしろ、普段おろそかにされている連帯感が全面に出てくる。僕はこの時期のイスラーム教徒が一番好きだ。

政争も一段落というか、帰国を試みたナワーズ・シャリーフ元首相をサウジに追放し当面の山は越したという感じである。とはいえ、この追放劇の値段は後々高く付くことだろう。だいたい、最高裁がいいといったものを実行しなかったのだから、立派な不法行為である。本人の意志に反してサウジに連れて行ったわけで、誘拐罪も成立する。受け入れたサウジ政府の評判もボロボロだ。内政干渉プラス誘拐幇助である。

ムシャッラフ側も、追放した場合の法的問題は当然わかっていたのだろうが、それでもあえてやらざるを得なかった。相当の手詰まりである。

ムシャッラフが軍服のまま合法的に再選されるためには二つの方法がある。一つは最高裁が認めること。もう一つは議会が憲法を改正すること。

最高裁との戦いは政府の負けであったので、第1の方法はもはや不可能である。したがって、改憲オプションしか方法が無いが、そのためには議会の3分の2の賛成が必要となる。これは現与党に野党の一部を引き込まない限り出来ない相談で、だからムシャッラフはベーナズィールと取引を行い、人民党を引き込もうとしているわけである。

ただしベーナズィール側としては、ムシャッラフが軍服を脱ぐことが譲れない条件であり、これはなかなか認められないだろう。ムシャッラフは軍人でなければただの人である。

現議会での改憲が困難な場合、解散して3分の2の多数派を作るという方法もあるが、その場合には相当の投票操作が必要になり、不正選挙で国内が混乱、国際的なサポートを失って政権崩壊という可能性もある。こちらのリクスはかなり高い。

また人民党との取引をすすめることでメンツをつぶされ恐慌をきたした与党は、あの手この手で揺さぶりをかけている。昨日も陸軍のエリート部隊が爆弾テロにあい死傷者を出している。潰されたラール・マスジッドの残党や、南ワズィーリスターンの親ターリバーン部族との関連が考えられるが、現与党の一部が糸を引いている可能性さえある。

ということで、ラマザーン明けまで状況はどう動くであろうか。
# by koidelahore | 2007-09-14 18:28 | Articles

(株)パキスタン軍

ラーワルピンディーでの爆弾テロがあったのが9月4日。ターゲットが国防省職員の乗ったバスだったせいか、翌朝はラホールでもカントンメント(駐屯地)の入口に非常線が張られ、通勤時の大ラッシュを引き起こしていた。

狙われたのが軍諜報部関係ということだから、部族地域での軍事作戦に対する報復あるいはそれに類するものという印象が強い。

政局報道に隠れて扱いは小さいけれども、アフガン国境近くでは300人近い数のパキスタン兵士が囚われの身となっている。というかこの件に関しては、あまり大きく取り上げないようインフォーマルな報道規制がでているように思われる。要は、「安定」「治安」というムシャッラフ政権の最大のセールスポイントも、もはや過去の話ということで、できるだけ触れられないようにしているような感じだ。

ムシャッラフにはもう一つセールスポイントがあって、それは腐敗した過去の政権との決別というものだった。確かに地方分権を実現し、透明性の向上をアジェンダに掲げることで、最初のうちはかなりアピールしていたはずであるが、こちらももう駄目である。

英字月刊誌Heraldの8月号は、パキスタン独立60周年を記念して60項目の世論調査を行っている。そのQ13「ムシャッラフ政権は、シャリーフ、ブットー両政権と比べてより腐敗しているか?」という質問に対し「より腐敗している」と答えたのが52%であった。

警察など日常的に接するレベルでは、以前よりましかもしれない。しかし、多くの人が口にするのは、最近の腐敗は、もっと組織的で大掛かりになっているということ。たとえば公営企業の民間への払い下げであるとか、軍関連産業の成長などであり、それに比べればナワーズ・シャリーフやブットー夫婦の汚職などは可愛いものだったという。

ということで、この話題、特に軍財閥については非常に詳しい一冊が有るので一読をお勧めしたい。アーイシャ・スィッディーカAyesha Siddiqaという軍事研究家の著書で『Military Inc.』(2007年Oxford University Press)。5月頃、出版禁止処分になって紙面をにぎわせていたけれども、実際は本屋で堂々と売っています。いかに軍が化学工業から不動産業まで蚕食し、国を食いつぶしてきたかが詳細に書かれています。
# by koidelahore | 2007-09-08 19:27 | Books