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パキスタン、アフガニスタン、そして・・・


by koidelahore
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朝から晩までパキスタン映画を流している、このFilmaziaというチャンネル、じつはひそかに気に入っている。レパートリーとしては50年代60年代の古きよき時代のウルドゥー映画と最近のパンジャービー映画である。

パンジャービー映画を30分以上続けて鑑賞するのは精神的肉体的に困難だが、30分以内ならばよい気分転換になる。ボリウッドとは一味違う摩訶不思議な世界だ。

疑問① パンジャービー映画では俳優はなぜ最初から最後まで怒鳴っているのか?

「オエー、クッテー・ダー・プッタル!カーン・コール・ケ・ガッル・スン(犬のガキ!耳かっぽじってはなし聞け)」とか、本当に怒鳴りながら言っている。雷声というのだそうだ。もちろんインド映画でもその傾向はあるのだが、パキスタンのパンジャービー映画はまったくそうだ。

疑問② パンジャービー映画の女優の踊りはなぜ体育会系なのか?

この踊りは今のボリウッドには絶対ない。昔はあったのかもしれないが。前後の振りも左右の振りも抜けんばかりにふっている。なんで、そこまでして腰を振らなければいけないのか。しかも動きがスムーズではなくカクカクしているのだ。

それから、手の表現にもスムーズさがない。レーカーの《ウムラーオ・ジャーン》など、あの優雅な手の動きでいろいろな感情が伝わるのだが、パキスタンの女優の手の動きはまるで空手の型を見ているようだ。

疑問③ パンジャービー映画ではなぜグッジャルgujjarがヒーローなのか?

グッジャルとは基本的にバッファローを飼って乳を販売することを生業とするコームqaumだが、パンジャービー映画ではかれらがヒーローだ。そもそも映画のタイトルに『マッカン・グッジャル(バター・グッジャル)』とか『イック・グッジャル、ソー・バドマーシュ(一人のグッジャルと百人の悪党)』とかある場合は、グッジャル系の映画だ。たいていグッジャルがスポンサーだ。ヤマハのバイクに真鍮の瓶をくくりつけミルク販売している諸君が見るのだろうか。

ボリウッドのヒーローと違ってパンジャービー映画のヒーローはズボンをはいていない。腰布ルーンギーだ。手ぬぐい、というかほどいたパグリー(ターバン)で敵をぶちのめす。スポーツカーではなく農業用トラクターにのってデートをする。『ムトゥ踊るマハラジャ』に通じるものがあるから短く編集すれば日本でもスマッシュ・ヒットになるかもしれない。

まあ、自分で書いていてもろくでもない映画だと思う。しかしこのB級ぶりがパンジャービー映画の魅力だ。
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# by koidelahore | 2005-05-16 16:43 | Zindagi/Life

パンジャービーのあだ名

内輪で相手を呼ぶ場合、名前そのものではなく、通称や呼称、あだ名というものを使う場合が多い。パンジャーブもまたしかり。パンジャーブのあだ名には身体的特徴に由来するものもあるが、本名の音から派生する通称が非常に多い。

例えば村に行ってグラーム・ムスタファの家を探す場合、グラーム・ムスタファでは分からない。「どこのグラーム・ムスタファだ?グラーム、グラーム、グラーム・・・おお、ガンマーだな。ガンマーの家はあっちだ」というようなことになるのである。

グラームがガンマーになるというのは、それこそ知らなければわからない。ある程度のパターンを頭に入れておくと幾分役に立つ。以下、知りうる範囲で例を挙げてみよう。(アルファベット順、簡易発音表記)

(男性の例)
アッバースabbaas → バッスーbassuu
アブドゥル・ラフマーン(ラヒーム)abdur rahmaan (rahiim)
→ リーマーriimaa
アーフリーディーaafriidii → ピーディーpiidii
アクラムakram → アックーakkuu
アルシャドarshad → アッチューacchuu
アトハルathar → アッティーattii
ファザルfazal → パッジャーpajjaa
ガッファールGHaffaar → ジャッファーjaffaa、グフラーGHufraa
グラームGHulaam → ガンマーgammaa
イクラームikraam → カルムーンkarmuun
イムラーンimraan → マニーmanii
イクバールiqbaal → バラーbalaa
ジャーヴェードjaaved → ジェーディーjedii
マンズールmanzuur → ジューラーjuuraa
ムスタファmustafaa → マストゥーmastuu
ナディームnadiim → ディーマーdiimaa
ナイームnaiim → ニーマーniimaa
ノーマーンnomaan → ノーミーnomii
パルヴェーズparvez → ページャーpejaa
ラシードrashiid → チッダーchiddaa
サイードsaiid → サッドゥーsadduu
サルマーンsalmaan → サッルーsalluu
サルフラーズsarfraaz → サッグーsagguu、サッパーsappaa
ショーカットshaukat → ショーキーshaukii
ターリクtaariq → ターリーtaarii
ワカールwaqaar → ウィッキーwikkii
ズィーシャーンziishaan → シャーニーshaanii

(女性の例)
ラズィアrazia ラッジョーrajjo
シャミームshamiim チーモーchiimo
女性の例が少ないのは、筆者が男性であることが理由。女性のあだ名はZanaanaの事柄に属する。

スィンディー語圏やサラーイキー語圏にはまたそれぞれのパターンがあるらしい。もちろんインドのヒンディー語圏にも色々あるに違いない。パンジャービー語圏でもポートハーリーとヒンドコーではバラエティーがありそうだ。あるパシュトー語スピーカーからは、そういう慣習は「無い」といわれたが、無いわけはないのではと思っている。時間のある人、調べてみてはどうだろう。
# by koidelahore | 2005-05-12 16:51 | Articles

タイタニック・イムリー

イムリーはタマリンドのことだ。さやに数個入って採れる木の実で、こちらでは酸味料として料理に使用されている。南インド圏では広範に用いられているようだが、パキスタンではビリヤーニーに入れるのが一番ポピュラーな使用法なのではなかろうか。

はっきり言って、パキスタンで生活し始めるまではイムリーのことなど気にかけたこともなかった。イムリーとは何かという問いがはじめて生まれたのは、ミッチェルズMitchell'sのイムリー・ソース(下・右端)を使ったときのことだと思う。
タイタニック・イムリー_a0005048_18272756.jpg

田舎に調査に行ったときのこと、昼食がランチ・ボックスで中にはチキンカツサンドのようなものが入っていた。なにも味がついてないということがわかり、場所を提供してくれた農家のおやじさんが持ってきたのがイムリー・ソースだった。

サンドイッチがあまりにも味気なかったからなのかもしれないが、そのときは絶妙なソースだと思ったのである。ブルドックとんかつソースを少し薄めて酸味を多くしたような味だ。感動的だったので自分でも買い求めて使っていたのだが、ある日ひとに笑われた。イムリー・ソースは妊娠中の女性が好んで使うものなのだそうだ。イムリーに限らず、この国では酸味のある食べ物は何でも女性向けという扱いになる。

イムリーとは調味料的に用いられるものとばかり思っていたのだが、ある日それだけではないことがわかった。マリーに行ったとき、バーザールの10ルピー均一ショップを冷やかしていると、レオナルド・ディカプリオの写真のパッケージが眼に入った。それが《タイタニック・イムリー》だ。もちろん裏側はケイト・ウィンスレットだ。
タイタニック・イムリー_a0005048_18282022.jpg

箱の中にはビニールにつつまれた黒い飴のような塊と木の「へら」のようなものが入っていた。黒い飴のなかにはイムリーが種ごと10個ほど入っており、それを木のへらですくってしゃぶるのである。一度に大量に食べるようなものではない。酸っぱい系の駄菓子―――ということで、コンセプトは梅干や《都こんぶ》とよく似ているのではなかろうか。

なお、この種のイムリーは《タイタニック》だけではなく数種類発売されていることを付け加えておく。インドにはこの手のものはあるのだろうか。
# by koidelahore | 2005-05-10 18:28 | Aiyaashee

ドーナンバリズム

ナンバー2すなわちドー・ナンバルというとパキスタンでは贋物の意味になる。副なんとかの肩書きの付く人が、会議で「私はナンバー2です」と胸を張っていうのを聞いたことがあるが、失笑がもれたのに本人は気がついたであろうか。出世が遅いからといってナンバー2で満足してはいけない。逆に、ナンバー2で威張るような了見だから出世が遅いのか。てなことを非組織人間の僕に言われるのはもっと悪い・・・

パキスタンのドー・ナンバルについては、前に紹介したVAIOのパクリロゴや贋UNOのように明らかに違法の範囲に入るものもある。しかしネーミングのパクリの場合、違法性は無い一方、わざわざ「私は贋物です」と主張しつつ、それをセールスポイントにしているようなものが目に付く。フライド・チキンの例などは、おそらくそのカテゴリーにはいるのではなかろうか。

KFCはいわずと知れた《ケンタッキー・フライド・チキン》だ。イスラマバード&ラーワルピンディーにはマクドナルドがないので、欧米系ジャンク・ファースト・フードではKFCが一番ハイカラということになっている。もちろんサンドイッチのSubwayもあるし、最近ダンキン・ドーナッツも進出しているが、やはりマーケットが少しずれる。

ラホールではそうはいかない。まず、いたるところにマクドナルドがある。しかも「AからZまで」あるといわれる贋KFCとも競争しなければならないのだ。しかし、いわれているわりには「AからZ」の実例が思い浮かばない。目立つところでは、AFC⇒Al-Najam Fried Chickenがあるくらいだ。これはドバイ資本らしい。Mallマールに大きな店があるほか計6軒の支店がある。それからRFC⇒Rahim Fried Chickenというのもある。
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写真はHFC⇒Hot Fried Chickenホット・フライド・チキンだが、ラホール北東部が勢力圏で支店は6店ある。ロゴだって別にKFCをまねしているわけではないし、フライド・チキンなど誰でも作れるのだから、なんだろうとかまわないのだが、やっぱりB級臭さが濃厚にただよっている。内容的にはバルガルもチップスも遜色なかったし、値段も遜色なかった。

要は、本当はフライド・チキンなどもっと安く出せるはずなのに「ちょっとKFCを意識したんだよ」とつつましく主張することで、やや高い料金を取ることを正当化する、あるいは事業を行うことに笑いとともに自己満足を見出すというメンタリティーなのだ。
# by koidelahore | 2005-05-09 16:01 | Number Two

Chagai, Ghauri模型撤去

今日付けのThe Newsによると、5月8日の未明、ラホール駅前に鎮座していた核実験場Chagaiの模型とGhauriミサイルの模型が撤去されたそうである。この記事はOn-Line版では発見できなかった。

決定はパンジャーブ州政府のもので、ナワーズ・シャリーフ時代の遺物が目障りだという理由のほかに、インド側のパンジャーブ州との州レベル交流をすすめる上での判断もあるだろう。

模型を撤去したところで核爆弾とミサイルがなくなるわけではない。しかし目障りなものがなくなったのは大いに結構なことだ。

他の州ではどういう扱いなのは不明。しかし連邦直轄のイスラマバードでは、2003年の暮れ、撤去が開始されている。Diplomatic Enclave入口および、F-10ミサイル・チョークのミサイル模型はすでに撤去され、別のモニュメントが設置されている。ファイザーバード交差点のチャガイ模型でも何か工事をしていたような気がしたので、もしかしらた撤去されているのかもしれない。
# by koidelahore | 2005-05-08 14:32 | Articles